時代とともに進化する個性豊かな「化学繊維」その種類と特徴とは

木綿・麻・ウール・シルクは天然の繊維です。中でもシルクは貴重なもので、シルクの代用品として人工的に繊維を作ったのが化学繊維の始まりです。

一番初めに造られた化学繊維は「レーヨン」です。材料は木材のパルプで、成分は木綿や麻と同じセルロースです。レーヨンは肌触りがよく、吸湿性も高いのが特徴です。レーヨンが多く使われているのは、婦人服や子供服、和装小物やカーテンなどです。

レーヨンは水に入れると縮む性質があり、水洗いを避けてきた方も多いと思います。ただ、短時間(2分程度)で洗い→すすぎ→脱水を済ませれば大丈夫という方もいます。

ストッキングに使われている「ナイロン」も化学繊維の1つです。実は、ナイロンが作られるまでストッキングはシルクで作られていました。

ナイロンは軽くて丈夫な繊維です。吸湿性は低く、濡れてもすぐに乾き、害虫やカビの害を受けにくいです。ストッキング以外に下着や水着、雨具、カーペット類、自動車のエアバッグなどにも使われています。

ナイロン製品を洗う時は、中性洗剤(おしゃれ着洗い用など)を使います。洗濯表示を見ると、洗濯機の「弱」やドライコースで洗えるものが多いです。漂白剤を使う場合は酸素系のものを選びます。ナイロンは熱に弱いのでアイロンは避けます。

「ポリエステル」には、いくつかの種類がありますが、最も多く使われているのがPET(ポリエチレンテレフタレート)という素材です。

ポリエステルはとても強い繊維で濡れてもその強度が変わりません。吸湿性が低く、シワの回復も早く、日光にも強いです。その性質から、学生服やスポーツウエア、シーツやテントに使われています。

ポリエステル製品は洗濯機を使えるものが多いです。ただし、レースなどデザインが凝ったものは洗濯機ではなく手洗いにしたほうが安心です。洗剤は中性洗剤を使います。白いものは酸素系の漂白剤をプラスしてお湯で洗うといいです。

「アクリル」はナイロンやポリエステルと同様、石油を原料とした化学繊維です。肌触りが羊毛に似て柔らかいのでセーターや毛布などに使われています。

アクリルの繊維は羊毛より軽く発色もいいです。太陽光線・カビ・害虫に強く、衣類以外にはカーペットやカーテンなどに使われています。洗濯方法はナイロンと同様ですが、ニット製品は伸びやすいので注意が必要です。主婦の方に人気の「アクリルたわし」は、アクリルの繊維の細かさと弾力を利用したものです。

最近では化学繊維の技術を使って便利な製品が作られています。 その代表的なものが冬の衣類に使われる「フリース」です。フリースの素材は、ポリエステルのPET、ペットボトルと同じ素材です。

フリースは軽くて暖かく、乾きも早いです。欠点は毛玉が出来やすい事です。また、保温性は高いものの風を通すので、上に風を通さないものを重ね着する事をお薦めします。

洗濯をする時は裏返してネットに入れて洗います。洗剤は中性洗剤を使い柔軟仕上げ剤を併用すると静電気が防げます。乾燥機は使わず、陰干しをします。

「機能性インナー」には、夏用と冬用があります。冬用のインナーの素材を見てみると、ポリエステル、アクリル、レーヨン、ポリウレタンです。薄いのに暖かくなる仕組みは、体から出る湿気を吸収して発熱すると書かれています。

夏用、もしくはドライタイプと呼ばれる機能性インナーは、素材がポリエステルとポリウレタンです。このタイプは吸湿性が高く、汗をかいたと感じさせないのが人気の理由です。

フリースは冬の定番になりつつあります。機能性インナーも各社から発売されています。目的に合わせた素材を選んで快適な生活を送りましょう。

手軽になった「シルク」、性質を知ったら洗濯するのも怖くない!

世界遺産に登録された群馬県の「富岡製糸場」は、明治時代に作られた「生糸」(きいと)を作る為の工場です。生糸とは絹糸のことで、この生糸を元にシルク製品が作られます。

シルクというと、「お手入れが大変そう」と思っている方も多いようですが、その性質がわかればそれほど難しくありません。

生糸は、蚕(かいこ)という蛾の仲間が作る繭(まゆ)から作られます。蚕が蛹(さなぎ)になるときに、自分の体の周りに細い糸状の物(生糸)を出して繭を作ります。その長さは1500メートルとも言われます。

生糸の成分は「シルクプロテイン」というたんぱく質です。生糸の断面は三角形で、これが光沢につながります。内側はフィブロインという繊維質のたんぱく質、外側はセリシンという硬たんぱく質です。

生糸の太さは、2~3デニールです。デニールは元々生糸の太さを表す単位で、長さ450mで重さが0.05gのものを1デニールといいます。女性の方が冬場に履くタイツが80デニール位なので、その細さが想像できると思います。

絹は紀元前の中国で発見されたと言われています。その時代は蚕から糸を作る方法は門外不出で、絹織物は金と同等の価格で取引された時期もありました。中国から西方に向けて絹を運ぶための道が「シルク・ロード」です。その後、6世紀頃にはヨーロッパなどでも絹織物が作られるようになりました。

絹を作る技術が日本に渡ったのは弥生時代です。その後、明治時代に入り、近代化した工場で作った絹糸は輸出にも使われました。その際、品質を一定に保つために富岡製糸場などの模範製糸場が作られました。

現在、日本国内で使われる絹糸のうち国内生産されているのは1割程度で、あとは中国・インド・ブラジルなどから輸入されています。国産の絹糸は柔らかく光沢も有り高評価です。輸入の絹糸ではブラジル産が品質も良く、高級品として取引されています。

繭からとった糸は、まとまった長さの長繊維(フィラメント)の部分が一番上質で、羽二重(和服の裏地などに使う)やネクタイ、下着などに使われます。

その後に残った短繊維の部分を紡績したものが絹紡糸として絹の靴下などに使われます。

繭のセリシンをお湯の中で溶かして伸ばし塊にしたものは「真綿」(まわた)と呼ばれ、布団の綿の最高級品になります。

このように絹と絹製品が貴重なものとして扱われるのには理由があります。絹には上品な光沢があり、繊維が細いので柔らかくて肌さわりもよく、保温性、吸湿性にすぐれています。絹は夏は清涼感を感じ、冬は暖かさを感じられる素材です。

絹の下着をつけて汗をかいても体が冷えないということで、南極探検や冬山に登る時にも使われています。

ただ、繊維が細いので摩擦に弱く、水でシミにになったり太陽光で色あせする可能性があります。

絹製品のお手入れをするのに気をつけたいのは、絹がたんぱく質で出来ているのを忘れず、髪やお肌と同じように扱うことです。細かい指示は洗濯表示用のタグに書いてあると思いますが、洗濯機ではなく手洗いをおすすめします。

ぬるま湯にシルク用の洗剤を溶かし、裏返したシルクを入れ、優しく押し洗いします。その後、数回すすぎます。柔軟剤は使いません。専用洗剤がなかかったら、髪用のシャンプーを使っても構いません。

脱水は水分を切る程度にして、裏返したまま伸ばし陰干しすると大半のシワは残りません。乾燥機は使わないでください。もしアイロンを掛けるなら生乾きの状態か充分霧を吹いてから行います。

シルク製品は、お値段は安く有りませんが、その肌触りは他の繊維には出せないものです。身近なものから取り入れてみてはいかがでしょうか。

羊だけじゃなかった!私達を暖かく包んでくれる「ウール」の種類

秋風を冷たく感じる頃になると、ウールを使った衣類が店頭に並びます。空気を抱き込んでフワッと暖かい点がウールの魅力です。今回はウールの特徴や種類、お手入れの方法をご紹介します。

ウールの特徴として、その暖かさはよく知られていますが、実は夏には涼しい素材となります。これは、ウールの繊維の中が空洞になっていて熱伝導率が低いためです。

ウールは水は弾きますが、空気中の湿気を吸って放出します。その際に気化熱を奪うので涼しさを感じます。水を弾くことで汚れが付きにくい効果もあります。

その他、弾力が高いことも特徴です。このため、ウール製品はシワになりにくく、形くずれも少ないです。

ウールは染色しやすく色落ちしにくいので、カラフルな色合いを楽しむ事が出来ます。更に、ウールには燃えにくい性質があります。仮に火がついても燃え広がる事はありません。

水分を含んだ状態で繊維が絡むとフェルト化するのも特徴です。(セーターが縮むのはこれが原因です。)

ウールを刈っている羊の多くは「メリノ種」という種類です。毛がモコモコしていてツノが丸くカールしている、年賀状にも多く描かれている羊です。

メリノ種の羊は、オーストラリア・ニュージーランド・フランスなどで飼育されています。その毛は細くて白く、弾力性にも優れている、上質なウールです。

イギリスで育てられている羊の毛は、「英国羊毛」と呼ばれます。山岳地方などの厳しい気候で育った羊の羊毛は、縮れが強く耐久性が強いのが特徴です。大量生産ができないので貴重なウールです。

スコットランド地方で作られている「ツイード」という布もウールが使われています。ツイードには、サフォーク種やスコティッシュ・ブラックフェース種の毛が使われます。どちらも顔が黒い羊です。

羊以外には、山羊やラクダの毛も使われています。(これらの獣毛は、厳密には「ウール」ではなく「ヘアー」と呼びます。)

アンゴラ山羊の毛を使ったものは、「モヘア」といいます。毛は長くて光沢があります。トルコやアメリカ、南アフリカなどが原産で、中でもトルコ産は最高級と言われています。

セーターなどでも人気の「カシミア」はカシミア山羊の毛を使っています。カシミアは、滑らかで柔らかく、毛布などにも使われています。原産は中央アジアなどです。

その他、ふたこぶラクダの毛を使った「キャメル」、南米のペルーやボリビア原産の「アルパカ」の毛も利用されています。

次に、ウールのお手入れ方法を紹介します。ウールは天然の素材で呼吸をしています。スーツなどは毎日続けて着るのではなく、1日着たらハンガーにかけ、ブラシをかけておきましょう。時々アイロンの蒸気を当てると生地の風合いが戻り、匂いもとれます。

セーターは、湿気を飛ばしたらたたんでおきます。洗濯する時は洗濯表示のタグに従い、洗濯機を使う時はネットに入れます。乾燥機は使わず、平らに干します。平らな所がない場合は風呂のフタにバスタオルなどを広げて干しましょう。

ウールはとても虫が付きやすい素材なので、シーズンオフには洗濯をしてから防虫剤を使って保管しましょう。カビ防止には乾燥剤も有効です。

防虫と湿気とりを兼ねた匂い袋を手作りすることも出来ます。不織布のパック(お茶などを入れる物)に重曹を入れ、アロマオイルを数滴たらします。アロマオイルは、防虫効果のあるレモングラスやラベンダー、ユーカリなどがお薦めです。

これを更にハンカチなどに包んでタンスの隅に入れておきます。直接衣類に付かない様に少し隙間をあけるようにして下さい。

ウールの衣類、大切にお手入れをして、いつまでもその風合いと暖かさを保ちましょう。

ナチュラルな風合いと肌にまとわりつかないシャリ感が魅力「麻」

春から夏にかけて多く見かけるのが「麻」を使った衣類や小物です。麻製品は、ナチュラルな風合いと汗や熱がこもらずサラッと着られることが人気の理由です。

麻は植物からとれる繊維の総称で、原料になる植物は20種類以上あります。代表的なものには、リネン(亜麻)・ラミー(苧麻/ちょま)・ヘンプ(大麻)・ジュート(黄麻)などがあります。

これらの麻は、靭皮(じんぴ/植物の外皮のすぐ下にある部分)の繊維を使っています。麻は強い性質をもつ繊維で、水に濡れると更に強くなります。

また、ハリのある素材が清涼感を感じさせ、吸湿した水分の発散が早いことも涼しさをプラスしています。色は白~生成りで光沢があります。

麻は他の繊維と混ぜることで新たな魅力が生まれます。更に、使わなくなったら自然に帰るエコな素材です。ただ、伸縮性が低くシワになりやすい面もあります。

リネンとラミーの主な用途は、春夏物のシャツやブラウス・ハンカチなどです。洗濯に強く清潔感もあるので、リネンはホテルやレストランのテーブルナプキンやシーツなどにも使われています。また、繊維が残りにくいことから、グラスを拭くためのフキンとしても重宝されます。

ヘンプは衣類の他、伸びにくい性質を利用してロープや縄などにも使われています。ヘンプは天候や害虫などに強く肥料や農薬を必要としません。また、日本では弓の弦や神社のしめ縄などに使われています。

ジュートは、豆や穀類を運ぶ「麻袋」として使われる事が多いです。また、植物の寒さよけなどにも使われます。

その他、製紙材料として使われるケナフ(洋麻)も麻の一種です。

靭皮の繊維以外には、葉脈の繊維を使うマニラ麻やサイザル麻があり、その堅さと丈夫さを生かし、ロープなどに使われています。

麻の原産地はヨーロッパ・ロシアからアジアまで広範囲に渡っています。日本でも古くから栽培されていて、万葉集にも「麻衣」(あさごろも)といった言葉が登場します。木綿が庶民に着られるようになったのは江戸時代以降なので、麻の方がずっと古い付き合いになります。

麻の中でも、細い麻糸を使った高級な麻布を特別に上布(じょうふ)と呼びます。上布は、その地域の気候などを生かした独特の織り方をします。上布の反物は過去には幕府などへの献上品にも使われました。

上布を作っている地域には、越後(新潟県)、近江(滋賀県)、能登(石川県)、宮古(沖縄県)、八重山(沖縄県)などがあり、現在もその技術が受け継がれています。

麻は夏場に多く着る素材なので洗濯をする回数も多くなります。リネンやラミーなど麻の衣類や小物の洗濯やお手入れの方法を見ていきましょう。

麻の弱点はシワがつきやすいことと、繊維が擦れて白っぽくなることです。これらを避けるため、出来れば手洗いをお薦めします。

洗濯の前には、必ず洗濯表示のタグを確認します。洗剤はおしゃれ着洗い用を使うといいですが、普通のものでも構いません。ただし、蛍光増白剤の入ったものは避けましょう。

洗濯後は、柔らかく仕上げたいのなら柔軟剤、パリッと仕上げたいのなら糊付けをお薦めします。(両方を併用することもできます。)

洗濯機を使う場合は、ネットに入れて弱水流で洗います。この時、洗濯機に入れる衣類の量を控えめにすると擦れによる色落ちを防げます。

麻の洗濯は、脱水の仕方にポイントがあります。脱水は1分程度、水がしたたる位で取り出し、ハンガーなどに掛けてシワを伸ばして乾燥させます。日光にあたると色あせしてしまいますし、水が垂れる可能性もあるので浴室に干すといいでしょう。

麻製品は丈夫な素材です。丁寧にお手入れをして永く愛用してあげて下さい。

1年中大活躍、身近な繊維「木綿」の魅力&お手入れ方法を再確認

私達にとって最も身近な繊維は「木綿」ではないでしょうか?木綿は、シャツや肌着、タオルやシーツなど、日常の様々な場面で使われています。今回は木綿の魅力や織り方の種類、お手入れ方法などをご紹介します。

木綿は英語名をcotton(コットン)といい、原料は綿(わた)の木の種実です。綿の木はアオイ科の植物で、原産地は熱帯、現在では熱帯から温帯にかけて広く栽培されています。

綿の種実は収穫後に綿毛と種子に分けられ、綿毛は木綿の材料になり、種子を絞ったものは綿実油となります。

綿毛の成分はセルロース(炭水化物の一種)で、中が空洞のストローのような組織です。綿毛は乾燥するとねじれる性質があり、これを利用して糸を紡ぎます。

木綿はインドから中国を経由して日本に渡り、江戸時代には庶民の衣類として使われるようになりました。木綿が広まる前の日本では絹のことを「綿」と呼んでいたので、2つの区別をするために絹の事を「真綿」と呼ぶようになりました。

木綿の布には、いくつかの織り方があります。

平織りは縦糸と横糸を規則正しく交互に織り上げたもので、薄くて丈夫です。ワイシャツなどに使われているブロードが代表的です。乳児の衣類などに使われるガーゼも平織りの一種です。

綾織りは、縦糸と横糸の交差の際に途中の糸を何本か抜かすことで斜めの模様を作ります。綾織りの布は厚地で柔らかい特徴があります。ジーンズなどに使われているデニム生地が代表的です。

朱子(しゅす)織りは縦糸・横糸のどちらか一方を多く表に出す織り方です。1方向の糸が多く見えるので光沢がある半面、摩擦などに対する強度は強くありません。代表的なものはサテン生地です。

パイル織りは、タオルやトレーナーの内側などに使われるループを作った織り方で、吸水性が高いのが特徴です。

Tシャツなどに使われる編み方は天竺編みといいます。天竺編みは縦糸や横糸ではなく、セーターを編むように1本の糸で編んでいき、伸縮性があります。

木綿の魅力は何と言っても自然な肌触りです。また、吸湿性や保温性に富んでいるので季節を問わず1年中活躍してくれます。肌への刺激が少ないので皮膚の弱い方でも比較的安心して着る事が出来ます。

更に、染色が容易で価格は安価、熱や水、アルカリに強い性質を持っています。

木綿の短所は、乾きが遅い事と縮みやすい事です。また、木綿は摩擦により繊維が白っぽく見えてしまいます。黒いTシャツが古くなると色褪せるのはこのためです。

では木綿のお手入れ方法を確認しましょう。丸洗い出来る事が木綿の魅力でもありますが、おしゃれ着や色の濃いものは少し注意が必要です。

おしゃれ着は、できれば手で押し洗いをして、脱水は極力短時間で済ませ、乾燥機は使わずに陰干ししましょう。シワをつけない様に乾かすのがコツです。

色が濃い衣類は、洗剤と同量の塩を入れて洗うと色止めになります。また、洗濯を繰り返して色が落ちてしまったジーンズは、新しいジーンズと一緒に洗うことで色がよみがえります。

木綿のタオルのゴワつきは、柔軟剤の代わりに「お酢」で代用する方法もあります。すすぎの際に少量のお酢を加える事でふんわりと仕上がり、殺菌効果も期待できます。

最後に、黄ばんでしまった衣類を白く蘇らせる方法を紹介します。それは、「煮洗い」という方法です。大きめの鍋(ステンレスかホーロー)に洗剤を溶かし、衣類やタオルを入れて20~30分煮ます。その後普通にすすぎます。

この方法は、生乾きの匂いの対策としても有効です。また、季節の終わりに煮洗いをして保存するのもお薦めです。

身近な繊維の木綿、上手にお手入れをして長く愛用したいものです。